富士山

富士山に登ったことがない。理由は、「富士山は登る山ではなくて見る山」と教えられたから。これは高校登山部の顧問のうけうりで、「観光地となって整備された単調な登山道を歩くよりも、尾根で繋がる自然に囲まれた山々を、手が届きそうなほど近い雷鳥や鹿を目にしながら山に登るほうがどれだけ山の魅力を感じられるか」という事実からきているもので、山に登る僕にとっては充分すぎる説明だった。だから今でも「富士山なんか登っても自分にとってつまんないだろうな」って思ってるし、機会がなければこれからずっと登らないんだろうなって思っていた。
でも、これは僕が毛が生えた程度の経験であるにしても山登りだから思うことであって、登山経験のない人々にとっては「富士山に登る」ことが大事なのであって、「山に登る」ことは手段の一つのようなものである。「富士山に登ったことある」人にとって、「富士山に登ったことのない山登り」が「富士山はつまんない」と言うには説得力に欠けすぎているのはわかる。でも本当に登山の魅力ってものを富士山で終わらして欲しくないのも本音。あ、説得力ないなほんと。だから学生時代に一度くらいは登りにいこうと考えたものだが、やりたいことに優先順位をつけたとき挙がらなかったために、結局今まで登らないままできてしまっている。ちょっと前は時間なんて有り余ってたはずなのにな。
こうやって富士山について考えたきっかけは、自分自身も先日鈴鹿山脈にいったし、うちの会社の課長は海外の山にも登ったことがある登山大好きらしいし(「僕も山登るんですよ!」なんて下手に言うと連れて行かれるのが怖いから今のところその話題は避けてるんだけど…)、登りたいっていう友達もいるしなどなどで、最近関連したことが多いから。たしかに「日本で一番高い山に登る」ってのはそれだけで価値があるもんだよね。休みなんかの都合がよかったりしたら、登ってみたいかも。「やっぱつまんねぇところだな」って思うか「なんだ結構良いところじゃん」って思うかは行ってみなきゃわかんないよね。自分がただの登らず嫌いだったことを願いたい。

「登り方もさまざま」