名古屋市博物館の「ルーブル美術館所蔵古代エジプト展」に行ってきた。最終日ということもあり、午後から行ったのに入場までに長蛇の列。一時間くらい並んで入場して、展示場内の混雑ぶりに少しうんざりしつつも頑張って拝観。実際人ごみに疲れた。
ツタンカーメンのマスクのような誰が見ても目玉って思えるものはなかったけれど、発掘品に描かれるエジプトの神々の意味や理由が知れて勉強になった気がする。例えばアヌビス神なんていう頭が犬の神は、墓地の守護者とかミイラづくりの防腐処理の守護神で、『死者の書』で死者の心臓を秤の上にのせて計量するなんてしてる重要な存在(神だからみんな重要なんだろうけど)だろうのに、なんで頭が犬なのかっていうのは、その時代には墓地を犬がよく徘徊してたからっていう結構単純な理由だったりもする。もちろんいろんな説があるのだろうけど、神聖化されていても、もとをたどれば神なんて誰かが考えたんだろうなって気兼ねすることなく思えるところが考古学のいいところだろうか。キリストだのアッラーだのとは教養があったって軽々しく言えないしね。

美術館ってのは思わず無口になってしまうもんです。生きて20年そこそこの輩が、何千年前の発掘品に対して軽々しく言葉で表現してはいけないような雰囲気が…と思うのは本当だけど、そう言っていつも何かを言葉にすることから逃げてきたのも実際のところ。今日博物館入場まで、友達に影響されて買った村上春樹の『風の歌を聴け』読んでて、「僕は自分が思っていることの半分しか語ることのできない人間になっていることを発見した」ってところにドキッとしてしまった。

‘体で覚える’とか‘考えるな、感じろ’もいいけど、言葉で表す訓練に当面はやっぱりいきつくようです。って別に大した言葉も残さず…いやいや訓練訓練。
天上天下唯我独尊」