M・B・O・!

MBO(Management Buy-Out)―
ある企業(事業部門)の現経営陣(部門長)が、自らの出資金に機関投資家からの出資や金融機関からの借入により調達した資金を加え、現行株主(親会社・個人オーナー)から当該企業(事業部門)を買収し、事業を承継することをいう。(みずほキャピタルパートナーズより)
一般的には大企業から子会社が独立するときに使われる手法だそうで、企業買収の一つ。


緊急会議があった。うちの会社が外資系になりそうになってたって話。

うちの会社の株っていうのは、前社長の一族がほとんど持っていたんです。ほんと八割以上。株式会社ってのは保有株数=会社の実権。要は殿様商売してたんですね。そんなうちの前社長(殿様)は突然、保有株式(会社の実権)の全てを外資系の企業に売却しようとしていたんだって。数年前から前社長と現社長以下の経営陣との折り合いは悪くて、それでいい加減に会社を手放したくなったらしい。さすが前社長は故会長の婿養子。頑張らずに上にいったやつほど自分の会社を無下に扱うってもんですね。売り払っても、数代は遊びきって暮らしていける資産を手に入れることができるそうで。
外資に渡ることになったらどうなるって、会社がバラバラ切り売りされちゃうからさあ大変。創始者が今まで築き上げたものなんて無視されるし、役員が今まで築き上げたキャリアは崩壊するし、支社だって社風が一変して、経験を積み上げてきた社員ほど風当たりが強くなる(頭固いから新しい体制なんて受け入れられない)だろうから、是が非でも外資になることは避けなければ!と。
そんな話の流れがあってMBO(マネジメントバイアウト)。会社の実際の経営陣が前社長の株を買いとったわけです。これも企業買収だそうで。なーんか記憶に新しいですよね。知られてないけど、うちの会社もこんなタイムリーなことがあったんです。

個人的には、俺はまだ新卒のしがない平社員(兵隊)であって、会社には情なんてない。というより、古い体制が変わるかなって期待した。実際、株を買い取るときの融資先から役員が増えて、少しは新しい風が吹くような気がするからいいけど。ま、どうにでもなってもただ頑張るだけ。
あと‘外資’っていう響きだけで、こじゃれたオフィスを想像して、それに惹かれてしまったのも事実。うちの会社、発見されたくないほど相当寂れてるビルだからね。創業が古い会社で寂れてるけど、他の会社よりも確実にアットホームな雰囲気ってところは素敵なんだけど。でもやっぱ、営業・メンテが終わってから、見栄え的にも帰りたくなる会社がいいわ。いや、無理は言わん。とりあえず、トイレの配水管の一本が、3年目の先輩が入社したときからすでに壊れてたってのを何とかして欲しい…。



兵隊、今はまだ雲の上を見る。